白磁の海

釉に漂う日々

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

朽ちてこそ

さびれた駅前で腐食した金属 潮風に吹かれたセンチメンタルはみるみる癒着し 今日より明日を良くするための言葉は意味を持たぬ 錆び、腐り、壊れていく日々と肉体に狂う

寂しさとは

ひっそりと秋づいてきたと感じる つくづく、月日の短さが身にしみる 「恥の多い生涯」かどうかはわからないが、全く思い通りにならず、 負け犬のような人生を送ってきたと思う 心の弱さの拠り所が文学や芸術だった 自分の居場所は人と人の間ではなく、文字や…

居間

私は居間の一人がけソファで文庫本を読んでいる 彼女は掃除機をかけている ずり落ちてきたズボンをきゅっとあげて はすっぱな表情で私を見る 気がつくと私は文庫本を開いたまま 仰向けになっていた 文章の一文字が抜けていたことが気がかりだった

滲み

青空を掻きむしりたる白雲を 我汚したし 血糊の如く

花火へ

小指ほどの 小さな虫をつかまえて 花火に投げし子を抱きすくむ