白磁の海

釉に漂う日々

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

あるいは昼下がり

興醒めてしまった午後 あるいは昼下がり 一色一色が枯れていくのを見ていました 最後に取り残されたのは僕の濃紺のスニーカーと あの子のべに どうやら おひさまがすべてかくしてしまったらしい

7月の夜に

体にのしかかる大気で どうやら何もかも忘れてしまったらしい 街角を曲がる時 黄色帽子の小さな子を見ることも 鍵盤の上 ぎこちなく踊る指先も 終わる時 あの子の名前をつぶやくことも 全部そっくり忘れてしまった いや、溺れてしまったのだ 7月 だれもいな…

遠ざかる

教室のざわめきから遠ざかる 木立の鳥の歌声から遠ざかる 夕暮れ 懐かしい台所のにおいから遠ざかる 笑顔の君から遠ざかる 遠ざかって 疲れた猫背の哀れな人です