白磁の海

釉に漂う日々

隙間風

Untitled

窓際に並べた数十冊の本が

冷たい隙間風を心做しか防いでくれている

赤や黄色や緑の色合い

文庫本や単行本が織りなす不規則な境界線

インクの匂いや、猥雑な古書店の臭い、いつのまにか染み込んだ生活臭

本を通り抜けたわずかな隙間風は

混沌として蒙昧な気持ちを掻き立てる

背中を丸めてたどたどしく文字を追った日々に、

文字から紡がれる漠漠とした風景を信じた無垢な自分に帰りたい