白磁の海

釉に漂う日々

12月が戻ってきた

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12月は後悔と安堵の月

 

12月を題材にした曲は多いですが、自分にとっては

Taylor Swiftの「Back To December」がとても思い出深いです。

後悔と寂しさの塊みたいな曲。

あのとき、大好きだった人に何も伝えられなかったもどかしさ、

幸せになっていく人を横目に見ながら惨めさに埋もれた夜。

今、その痛みはささくれを抜くようなわずかなものだけど、思い出します。

そしてその痛みは、どこか心地よく、安心するのです。

きっと、いつも戻りたいと思っていた12月に、また戻ってこられたから。

遅まきの秋に

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時間も季節も加速度を増しているよう

瞬きをする間に土手沿いのイチョウ並木が寂しくなって

買ったばかりのスニーカーの踵は早くも水平線を失い

ファインダーを極彩色で染め上げるため、

愛車の走行距離はぐんぐん伸びる

そう、遅まきの秋の短さに負けぬよう

人間を脱ぐ

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ー 人間を脱ぐ、この時間がなければ私は枯れてしまうから

 

ちひろさん』という漫画で印象に残っているセリフ

人間を脱ぐ、ということの意味がなんの抵抗もなく理解できた

こういうことは案外多くないと思う

 

活字の中に自分を探す日々

生産性のないこの日々に喜びを見いだせたなら

もう孤独じゃない

手持ち無沙汰で

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もうしばらくカメラを持って出歩けていない。

真夏の日差しのような衝動性が影を潜めてしまった。

休日は仕事をしたり、仕事のために休んだりしている。

 

正直写真を撮ってなんの意味があるのか分からなくなる。

賞を取るわけでもないし

誰に褒められるでもない。

 

ただ淡々と風景を切り取るだけの作業だが、

その時々によって日常を見る目が変わるのが面白いと思う。

体感だが、荒んでいるときのほうが好みの写真を撮れる気がする。

カタルシスか。自己理解か。

 

最近、人物を撮影したいと思うことが増えた。

ある時、集合写真を撮影させてもらったときがあった。

写っている人とファインダー越しに目が合うという感覚が初めてで、

人生が変わりそうな気がした。

自分を見て笑ってくれているという体験が、

画像として残るということの特別感。

誰か傍に居てくれたらな、と胸がズキッと痛む。

 

晩夏

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いつしか朝晩は冷え込むようになり、

頬をつねりたくなるあっけなさ

肌に暑さが取り残され、疼いている

鈴虫がいつしか部屋の中に入ってきたようで、

けたたましく鳴いている

そんなに叫ばなくても秋が来ていることは気づいているよ

肌寒くなると、野良猫を思い出す

朽ちてこそ

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さびれた駅前で腐食した金属

潮風に吹かれたセンチメンタルはみるみる癒着し

今日より明日を良くするための言葉は意味を持たぬ

錆び、腐り、壊れていく日々と肉体に狂う